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2022/8/7

数学の証明とは
数学でいう「証明」とは一般的な「説明」とはちがいますし、「科学的証明」ともちがいます。数学の証明とは、以下2点の特徴をもつものをいいます。
①数ある推論方法のなかでも「演繹」だけを使う。
②すべての場合に当てはまるように「一般化」をしなければいけない。

人間が未知の事柄を予想する手段というのはいろいろあります。
◆経験(ひとりの女にだまされた→女には気をつけねばならない)。
◆類推(チンパンジーは共同で狩りをする→初期人類もそうだったにちがいない)。
◆仮説形成(会社の売り上げが悪い→接客が原因だと仮説を立てる)。
◆帰納的推論(ある遺伝子異常をもつ100人がみな同じ病気だった→この遺伝子異常が病気の原因である)
◆演繹的推論(人間はみんな死ぬと仮定する→陽太は人間である→よって陽太は死ぬ)

わたしたちは日頃、これらの予想手段を区別することなく使っています。
しかし数学の証明においては、演繹的推論以外は「不確実な手段だ」として切り捨てるのです。
演繹以外の手段がどうして不確実なのか、実際に証明方法を比べることで見てみましょう。たとえば「三角形の内角の和は180°である」という事柄を、「類推」「帰納的推論」「演繹的推論」の3通りで証明してみます。

①《類推による証明》(問題)三角形の内角の和は180°であることを証明せよ。証明)正三角形を書いて角度を測ったらすべて60°だった。60+60+60=180 なので、正三角形の内角の和は180°である。三角形はみな、正三角形と似たようなものである。よって、三角形の内角の和は180°である。
この証明に納得できますか?「三角形はみな正三角形と似たようなものである。よって……」の部分が、つっこみどころ満載ですね。だから類推による証明は、いくらでも反論可能ということです。
②《科学的証明(帰納)》帰納的推論で証明してみましょう。この帰納的推論をつかった証明がいわゆる科学的証明というやつです。(問題)三角形の内角の和は180°であることを証明せよ。(証明)三角形をランダムに1万個作って角度を測ったら、その内角の和はすべて180°だった。証拠は十分である。よって、三角形の内角の和は180°である。
この証明はどうでしょう?たいていの人は納得するかもしれません。しかし疑り深い人が「1万1回目は180°じゃないかもしれない」と言い出すかもしれません。じゃあ10万回試したところで、10万1回目は?となってしまいます。このように、科学的証明というのは「絶対にそうだ」とは言えない証明なんです。「見たかぎり、試したかぎりではそうだった」としか言えないんです。これが帰納という推論方法の限界です。
③ 演繹的推論による証明、つまり数学的証明を見てみましょう。(問題)三角形の内角の和は180°であることを証明せよ。(証明)平行線を引き、またそれぞれの角度を a , b , c とする。平行線公理を認めれば、平行線の錯角は等しいので、b=b′ , c=c′…①また一直線は180°なので、a+b′+c′=180…②。①②よりa+b+c=180よって、三角形の内角の和は180°である。演繹という方法は「なぜそうなるのか」という理由を既知の事柄にさかのぼってちゃんと説明できるんです。 参考資料【数学の証明のしかた】 (発見的教授法による数学シリーズ[ 秋山仁 ])
徳島市・個別指導塾サクシード(小学生・中学生・高校生の個人塾・算数塾・数学塾)塾長

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