不思議な「背理法」の世界「ありえない!」から真実が見える?
**今日は、数学の探偵術**「背理法」**のお話です。「もし〜だったら矛盾しちゃうよね」と追い詰めて、正しい答えを導き出す面白い考え方なんですよ。中学生のみなさん、ついてきてくださいね。
1. 「√3 + 5」は無理数?
√3 がバラバラな数字が続く「無理数」なのは有名ですが、それに「5」を足した数もやっぱり無理数なんです。
もし「√3} + 5 が有理数(分数)」だったら? と仮定します。
その数を有理数 r とすると、√3 + 5 =r です。
5を移動させると、.√3 = r - 5 になります。
【矛盾!】 有理数 r から 有理数5 を引いても「有理数」のはず。
なのに左側は「無理数」の √3 。無理数=有理数なんてありえません!
だから、√3 + 5 は無理数で決まりです。
2.素数(2, 3, 5, 7...)の数は無限にあります。宇宙の果てまで続いています。
「素数は有限しかない」と仮定すると矛盾が起きることを利用して、逆の結論を導き出す**「背理法(はいりほう)」**という手法を使って証明します。
①最初に「ウソの仮定」を立てる
まず、**「素数はリスト(2, 3, 5, ……, 最後の一番大きい素数)にある分だけで全部だ!」**というウソのルールを決めます。この時点では、世界にはリストに載っている素数しか存在しないことになります。
②特別な数「M」を作る
リストにあるすべての素数を掛け合わせて、最後に「1」を足した大きな数「M」を作ります。
M =(2 × 3 × 5 × …… × 最後の一番大きい素数)+ 1
③Mを素数で割ってみる
作った数「M」を、リストにあるどの素数で割ってみても、最後に足した「1」のせいで必ず「1」余ってしまいます。「割り切れる素数がリストの中に一つもない」という事態が発生します。
④ここであり得ないこと(矛盾)が起きる
どんな数も「必ず素数で割り切れる」はずなのに、リストの素数ではどれも割り切れません。
この矛盾が起きた原因は、最初に立てた「素数は有限だ」という仮定が間違っていたからです。
パターンA: M自体が、リストの外側にある「新しい素数」だった。
パターンB: リストに載っていない「未知の素数」で割り切れた。
⑤結 論
どちらに転んでも、最初に決めた「リストがすべてだ」という前提がウソだったと証明されます。
したがって、**「素数は無限にある」**ということが導き出されるわけです。
3.パーティで「知り合いの数」が同じペアが存在する。
①仮定(定理の否定) 「5人の集まりにおいて、全員の知り合いの数がバラバラである」と仮定します。
②知り合いの数の範囲を特定する 5人の集まりにおいて、ある一人が持ちうる「知り合いの数」の候補は、最小で0人(誰も知らない)、最大で4人(自分以外の全員を知っている)の 0, 1, 2, 3, 4 の5通りです。
③矛盾を導き出す(ここがポイント!) 仮定より「5人全員の知り合いの数が異なる」とするなら、5人に対して5通りの数値(0, 1, 2, 3, 4)が1つずつ割り当てられるはずです。つまり、このグループには必ず以下の二人が存在することになります。
Aさん: 知り合いが 0人(誰も知らない)
Bさん: 知り合いが 4人(自分以外の全員を知っている)
しかし、これは論理的に破綻しています。
なぜなら、Bさんが全員を知っているなら、その「全員」の中にはAさんも含まれるため、AさんにはBさんという知り合いが少なくとも1人存在しなければならないからです。
したがって、「0人」と「4人」は同じ世界に同時には存在できません。
④鳩の巣原理(引き出し論法)への着地 「0人」と「4人」が共存できない以上、5人が取りうる知り合いの数のパターンは、以下のいずれかのグループに限定されます。
グループ ア:{0, 1, 2, 3} の4種類
グループ イ:{1, 2, 3, 4} の4種類
いずれの場合も、「5人(鳩)」に対して「4種類の数(巣)」しかありません。
⑤結論 鳩の巣原理により、5人を4つの分類に振り分けると、必ず少なくとも2人は同じ数値の箱に入ることになります。 よって、「全員の知り合いの数が異なる」という最初の仮定は誤りであり、**「知り合いの数が同じペアが必ず存在する」**ことが証明されました。
★鳩の巣原理: n 個の巣に、n+1 羽の鳩がいたら、どこかの巣は2羽以上になりますよね。
知り合いのパターン: n 人のパーティで、一人の知り合いの数は「0人」〜「n-1人」の計 n 通り。
【矛盾!】 でも、同じ場所に「誰も知らない人(0人)」と「全員知っている人(n-1人)」は同時には存在できません。
つまり、実質のパターンは n-1 通りしかありません。
結論: n 人を n-1 個のパターンに分けるので、必ず同じ数の知り合いを持つ人が出てくるのです。
独り言:
「絶対にそうならない」という矛盾を見つけることで、正しい道が見えてくる。なんだか人生のヒントにもなりそうですね!