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2020/09/11

数学での抽象化と具体化の行き来

数学は抽象的な科目だと言われますが,それを意識したことはあるでしょうか?辞書には「いくつかの事物・表象から共通する性質を引き出し,それを一般化して思考するさま」とあります。

共通する性質を引き出す?一般化??思考するさま??? 読むだけで疲れます。具体的に数学の抽象化の例を挙げてみます。驚くほど,あっさりしています。

数学では,偶数(2で割って割り切れる数)をnを自然数として,2nと表します。これが抽象化です。たった2nと書いただけ。これでいいのです。(ちなみに2nは「2かけるn」のことです)抽象化を進めれば進めるほど,表現は単純になります。偶数と言って思い浮かべるのは,2とか10とか36とかだと思いますが,「思い浮かぶだけ,偶数を言ってごらん」と言われたら,終わりのない作業になります。偶数は無限にあるから・・・。

「偶数は2nと表現します」といえば,無限にある偶数を全部を一言でいったことになります。偶数の「2で割って割り切れるもの」という共通な性質を2nは過不足なく表現しているのです。

「抽象化→具体化の変換」 2nという表現において,nは自然数(ものを数えるときの数)なのだから,nを1にしてみます。nという抽象的な数を具体的な数1に書きかえることを,nに1を代入するといいます。2×1=2具体的な数2が出てきました。nに5を代入してみます。2×5=10さらにnに18を代入すると,2×18=36。nに適当な自然数を代入することで,次々と具体的な偶数が作られていきます。

中学以上の数学は,まさにこの抽象化,具体化を文字式を使いながら行っていきます。具体的にわからなければ抽象的な表現を,抽象的にわからなければ具体的な表現をと意識しながら進めると,意外に理解が進むかもしれません。

人類がこの数学という抽象的な表現方法を手に入れたことにより,自分たちの生活する環境を、もっと大きく宇宙全体を考えることができるようになりました。人類以外の生物には決してできないことです。そして,今や,物理学という,数学を表現手段とする学問で,宇宙の全てをたった一つの数式で表そうというすごいことを研究している人々もいます。

抽象化,おそるべし!具体化,たのしきかな!

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