“数”と“数字”はまったく違うもの
ほとんどの人は、数と数字を同じものだと思って使っています。
◆数字は印刷された“文字”です。
これにはアラビア数字、漢数字、ローマ数字……。
◆“数”には形がありません。この世には存在していない。つまり概念なのです。
そのことを最初に発見したのが、2500年前のギリシャ時代の偉大な思想集団です。
ピタゴラス、プラトン、アルキメデス、アリストテレス、ソクラテスといった人たちのおかげで、数学だけでなく天文学、物理学、政治経済などの壮大な物語がはじまりました。
数学というのは文字通り概念上の形や数の世界にあるルールを探究する学問ですから、その世界は非常にドラマティックなのです。
人類が生み出した史上最高の芸術といってもいいです。
人間は素晴らしい。こんなにも美しいものを使いこなして。本当に驚きの連続です。
“算数”とか“数学”といった文字を見ただけで苦手意識が働いてパスしてしまう人は多いのかもしれません。
「勉めを強いる」(小学生の中学お受験)なんていう一番悪い“勉強”のイメージかも。
数学は史上最高のエンターテイメントなんですよ。
数の世界の不思議
日本人は元来、数が好きなんです。江戸時代には和算が庶民の間で広まって、究極の計算機の日本式算盤を生みだした、世界に誇る数学大国です。
今でも数独パズルは人気ですし、数学は嫌いでも日常的な計算は嫌いじゃない。
数字そのものは好きな人が多いんですね。
ところがみんな受験勉強のなかでテストのためだけの受験算数を強いられて、
数学アレルギーになってしまっている。
数学が合格するための単なる手段になり下がって、本来の楽しみを知らないままでいるのです。
数学嫌いを多く生み出している一番の弊害は、感性豊かな小学生・中学生時代に巻き込まれる受験社会かもしれません。
黄金比と白銀比
西洋の絵画や建築物でよく使われている美と調和を象徴する黄金比(1:1.618…=約5:8)は、私たちが普段やりとりしている名刺にも使われていますよね。
日本の建築物などの美を象徴する白銀比(1:√2=1:1.414…=約5:7)は、
A判とかB判のコピー用紙やノートの縦横の比率です。
こういう話を中学・高校生にすると、次の日からメジャーを持ってあちこち測りはじめるそうです。
測ることが数学の原点ですから。
女性の顔の美しさにも、実は比率が関係しています。(男性も同じ。男女平等)
顎の先端と両方の眉の端を結んだ線の角度が45度なら『美人角』だと言われます。
45度にこだわるかというと、正方形を対角線で折ると45度と45度の直角二等辺三角形ができるでしょう。
これを比になおすと、1:1:√2=1:1:1.414…=5:5:7(白銀比)となります。
【楽しいのが一番!】数学がおもしろいと思えるポイント
ゲームは、必要な情報を集めたり、魔法を覚えたり、少しずつ強い敵を倒していくんですね。
数学もゲームみたいですねと言った中・高校生がいます。
新しい定義や定理を覚えて、公式を手に入れて、問題を解いていくでしょう?
そう考えると、数学もゲームみたいですね。
数学は問題を解けば解くほど確実に力になっていきます。
最初は地味でつまらないかもしれませんが、
国語の読解や作文のような曖昧さはなく、必ず同じゴールにたどりつけます。
努力を裏切らない教科です。
理科(第1分野・ニュートン、パスカル、飽和水蒸気etc.)は、数学の四則計算と比例・割合でおよそ解決できます。
人類が生まれた頃、言葉を発する前より
目に見えたものを個数として認識します。
猪や鹿を獲る「狩猟」や木の実・果実の「採集」によって
自分の蓄えを「数」として捉えて
それを記号で記録していきます。
ただ、「何もない」ことを「ゼロ(0)」として表すことはできませんでした。
目に見えないからです。
小学生から当たり前として、「0」を使います。
「数」を認識されてから、2000年後に、やっとインドで
「何もない」ことを「ゼロ(0)」として表す発見がなされました。
「0」は高尚(ハイレベル)なんですね。