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2023/4/4

『高校数学の重さ』=「中学数学の5倍」
なぜ、高校数学でわからなくなるのか?
「なぜ、高校に入って数学で落ちこぼれてしまうのか?」ということについてです。そうなってしまった人は、日本に何百万人といると思います。中学まで数学が得意だったのに、高校で苦手になってしまうという人もけっこういるはずです。高校数学は、具体例がなくて定義から記されているものが多いです。高校数学の教科書を思い出してください。新しい概念もどんどん出てきます。わからない記号とか、わからない式の羅列が目に入った時点で、「え、何いってるの?」となって、それを考えているうちに置いていかれる。そういう人は多いと思います。

小学校の算数や中学の数学までは「Aくんは時速何kmで歩いて……」というような現実と結びついていることが多いのです。中学までは具体的にイメージできるものが多いです。問題文を読めば解き方が直感的にわかる、つまり足し算、引き算、かけ算、割り算をすればいいか判断できるものが多いです。図形でも、見たことがある形でした。中学数学はおなじみの正方形とか長方形、台形、平行四辺形、円とかをもうちょっと詳しくやっていきましょうみたいな感じになっています。「中学までは数学ができた」という点でいえば、中学までの数学は計算すればできたとか、問題をその通り解けばできた気がします。中学数学でも、文字式や関数のグラフが出てきましたが、まだ問題文を読めば何をすればよいかがわかりました。

高校数学になると、だんだん「数学独特な言い回しの問題」や「思考力を問われる問題」が多くなってきます。中学数学あたりまでは、教科書に載っている例題とテストの問題の差はそれほどなかったのですが、高校数学のテストはもうちんぷんかんぷん。とくに教科書の例題と大学入試レベルの差はかなりあります。高校数学の重さは、感覚的に「中学数学の5倍」です。「中学数学」「高校数学」はちがうものというのはドロップアウトした時点でなんとなく感じて、数学に対する自信が折られます。そのショックも大きいと思います。「できる」と思ってたことが、「できない」ということを自覚するはずです。

原因の1つは、同じ3年間でも高校数学は学習する量が多く、質も高く、スピードも速くなることです。量でいうと高校数学の教科書の厚さは中学数学の2~3倍あります。教科書の1ページに書かれている内容が高度なのでスラスラと読み進められません。感覚的な重さでいえば高校数学は中学数学の5倍くらいかもしれません。中学までの数学が得意だと思っている生徒のなかには、勉強しなくてもできると思っていた生徒たちが一定数います。そういう生徒は、授業を聞いているだけで理解できていた。何をすればよいのかストレートにはわからない問題に取り組むという経験がなかったから、高校数学になって何が起こっているのかわからないまま「おかしいな!?」という感じになっていくといえそうです。負のスパイラルに陥ってしまいます。

中学数学の5倍くらいのイメージで臨んだほうが、メンタル的にはいいかもしれないです。数学で落ちこぼれる負のスパイラルとして、「できない自分が悪い」と思いがちということもあると思います。「がんばっているのにできない」という生徒は、やはりやり方が悪いのでしょうか?努力する方向がちがうのでしょうか?「問題集をこれだけ解いたのにできるようになりません」という生徒がいます。「この公式を使いなさい」と示されている問題を10回解いたとしても、「こうしなさい」といわれた問題しか当然解けないわけです。問題自体が何をたずねているのかを理解しようとする練習を積めば、ほかの問題でも解けるようになります。しかし、「問題がたずねていること」をつかむ前に、やり方自体を覚えようとしてしまう生徒が多いのです。

わからないけれど解法を暗記している場合、言い回しが変わったときに、「結局、何を聞かれているのだろう?」という「問題の背景」を理解しようとせず、中学までの取り組み方のまま、条件反射的に取り組もうとしてしまうためです。「この問題って、こういうことを習ったけれど、それはわかっているかな?」とか、「こういう意味でとらえられているかな?」ということを確認するのを「背景」といって伝えています。「この問題は何がいいたいんだろう?」ということをつねに意識しておくことです。「問題の背景」とは、いわば「この問題は、こういうことを聞きたいから、こういう出し方をしている」というようなことです。「問題が出される背景」までを考える習慣がない生徒は、高校数学を解くのは厳しいと思います。「問題の背景」を理解すると、だんだん生徒も「この問題は、そういうことを聞いているのか!」とか、「この問題は、こんなふうに聞かれてそうだな」とか、「そういうところがキモなんだな!」とつかめてくるようになります。

新しい問題でも自分で解くための切り口を見つけられるようになる。問題の見方が変わってきます。「式(抽象性が高い)」と「グラフの図示(具体性)」との関わりや、問題のとらえ方の引き出しが増えてくるため、浅い理解から深い理解に変化していくような感じです。問題文の中にヒントがちりばめられているというのも見えてきます。「問題の背景」がわかれば、超天才でなくても高校数学を解けるということです。「問題の背景」をつかんで解く練習を繰り返す。「そういうことなんだ!」とわかったら、そこから1人でどんどん取り組めるようになると思います。
【入試の極意】入試算数や入試数学で最も大事なことは「問題は解けるように作られてある」という意識を持って解くことにあると思う。そういう意味で出題ミスは絶対あってはならないこと。

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